豊田市の小児科・予防接種・アレルギー科・小児皮膚科・渡航外来・発達外来(自閉症・ADHD)・心療内科・思春期外来:アイキッズクリニック

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お子さんの行動にこのようなことはありませんか?

 
・長袖ばかりを着ていたり、肌を過度に隠すような気がする…
・最近ふさぎ込んでよく泣いているし、手首に傷があるように見える
・部屋のごみ箱に血の付いたティッシュがある…もしかして子どもが部屋でリストカットしている?
 
その行動は、子どもからのSOSかもしれません。
 
 

 

1.自傷行為とは

 
自殺以外の目的から、何らかの方法で自分を傷つけることを言います。
例えば、
・直接自分の身体に傷をつける(刃物で切る、物にぶつかる、など)
・間接的にじわじわと自分を傷つけていくこと(アルコールや薬物依存、摂食障害など)

といったことがあります。

 
10代の初めに始まることが多く、男女の違いはないと考えられています。
 

2.なぜするのか

 
自傷行為をする人は、心に痛みを抱えていることが多く、そしてその対処が上手ではありません。
自分ではどうしようもないストレス、つらさ、怒りを感じた時に、それを乗り越えるために自分を傷つけてしまいます。
つらい感情から逃れるための、その人の手段であり生きるために自傷行為をしているのです。
 

3.よくある誤解

 
よく自傷行為は「アピール的行動」と捉えられているようですが、全くの誤解です。
「自傷行為の96%は一人で行われ、しかもそのことを誰にも告白していない」という研究があります。自傷行為は誰にも気づかないままに行われていることが多いのです。
 

4.自殺とは違うの?

 
自傷行為は自殺以外の目的から行われるものです。しかし、エスカレートしていくうちに、いつか命にかかわるような傷を作ってしまうことがあります。
死にたいほどつらい気持ちがあっても、人間は痛みや恐怖心、自分の身体を傷つけることへの抵抗感を持っており、そのことが実際に自分を傷つける行為を防いでくれます。しかし、自傷行為をして自分の身体を傷つけることに慣れていくうちに、死ぬことへのハードルが下がって来てしまうのです。そしていつのまにか死を引き寄せてしまうことがあります。
 

5.発達障害との関係性

 
発達障害があることによって、
・日常生活の中で失敗やトラブルが多くなってしまう
・周囲から非難されたりして、自己肯定感を得にくくなる
・問題対処が苦手
 
これらの要因から、自傷行為をしてしまうことがありますが、発達障害はあくまで間接的な原因であり、発達障害だから自傷をするのではありません。
 

6.家族はどうしたらいいの?

 
お子さんの自傷行為を知った時、多くの方はショックを受けます。これは普通の事です。
しかし、子どもを叱責したり、説教したり、無視したりしないでください。
親に叱られたり、怒りの感情を向けられることを子どもは恐れています。そして叱られると、「やっぱり自分はダメなんだ」と感じてしまいます。
多くの子どもは自傷行為を親に隠そうとしています。つらい感情を自分だけで対処しようとしてきた結果が自傷行為なのだ、ということを理解して、なるべく冷静に落ち着いて、「何があったか教えてくれる?」と自傷せざるを得なかった状況に関心を持って話を聞いて下さい。
 
また、お子さんの自傷行為を見つけたり、知った時に、同様に家族も傷ついています。家族だけで抱えるのではなく、家族が相談できることも重要です。
 

7.治療とは?

 
治療のゴールは「自傷行為をなくすこと」ではなく、どうしたら自傷せざるを得ない今の状況や環境が改善するか、ということであると考えられています。
自傷行為は「こころのつらさを少しでも和らげるため」に行っており、その根本のつらさの解決が重要です。今よりも安心して過ごせる生活環境を作るにはどうしたらいいか、を考えていけるとよいと思います。
 
 
お子さんの行動で気になることがありましたら、一度ご相談にいらしてください。
場合によっては近隣の精神科や児童精神科をご紹介させていただきます。
 
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