不登校
心と体のサインを受けとめるために
「学校に行けない」は甘えではありません。
「朝になると体調が悪くなる」「玄関までは行けるのに、そこから動けない」「学校に行こうとすると、泣いてしまう・腹痛が出る」
こうした状態は、いまや特別なことではなく、多くの子どもが経験する現象になっています。
不登校とは、「学校に行かないこと」ではなく、“今、行けない理由がある”というこころと体のサインです。

なぜ学校に行けなくなるのか?
思春期の脳と心のゆらぎ
思春期の子どもたちは、脳の感情系が先に発達し、理性や自己調整の機能はあとから育つという特徴があります。
そのため、以下のような刺激に対して、
「受け止めきれない」「どうしていいかわからない」という反応が起こりやすいのです。
友人関係・いじめ・孤立感 |
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勉強や進路への不安・成績低下 |
SNSやスマホでの疲労・比較 |
家庭内の緊張や親とのすれ違い |
感覚過敏、ADHDやASDなど発達特性の背景 |
さらに、朝に起きられない・腹痛や頭痛が出るといった“体のサイン”として現れることもあります。
「さぼっている」「なまけている」と決めつけず、今の状態にエネルギーが足りていないという視点が必要です。
家庭でできる対応
登校よりも“安心の土台”を優先に
無理に登校させようとしない
「せめて保健室でも…」「遅れてもいいから行きなさい」こうした言葉が、本人には強いプレッシャーに感じられることもあります。まずは、「家にいることも大事な選択」と受け入れることが、心の安全につながります。
小さな達成体験を積み重ねる
着替える、朝ごはんを食べる、天気の話をする…。
「学校以外の場所での成功体験」が、エネルギーの回復を助けます。
親が“評価”を手放す
「今日は学校行けた?」「昨日よりマシだった?」と毎日確認されると、「またできなかった」という自己否定が強まってしまうことがあります。
“ただ一緒にいてくれる人”の存在が、最も安心になります。
受診の目安と相談先
親のみのご相談やオンライン診療も可能です
次のような状態が2週間以上続く場合は、医療的な視点からのサポートが効果的です。
朝になると強い不調(頭痛・腹痛・吐き気)が出る |
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学校の話をするだけで不安・イライラになる |
ゲーム・スマホ依存や昼夜逆転が続いている |
感情のコントロールが難しくなっている |
家族も疲弊し、対応に困っている |
当院の【思春期・発達外来】では、小学生高学年〜高校生までを対象に、初診からオンライン診療にも対応しています。
また、「まずは保護者だけで相談したい」という方もご利用いただけます。
当院からのメッセージ
「学校に行けない」という状態は、子どもが“今の自分”を守ろうとしている証拠です。
それを責めるよりも、「こころのエネルギーが足りていない状態」として見てあげてください。
私たちは、保護者の悩みにも丁寧に寄り添いながら、本人のペースを尊重した回復のサポートを行っています。
オンライン診療・親のみのご相談も対応可能です。
どうぞ、安心して一歩踏み出してみてください。
よくあるご質問
Q. 不登校になったら、すぐ学校に行かせたほうがいいですか?
A. 回復のためには、「まず休むこと」「安心できる場所でエネルギーをためること」が先決です。
焦らず、整える時間をつくりましょう。
Q. 本人が受診を拒んでいます。どうすれば?
A. 最初は保護者の方だけで相談していただいて大丈夫です。
家庭内での対応や声かけの工夫を一緒に考えていきます。