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マイコプラズマ感染症
子どもの長引く咳と高熱の対応

 
「熱はあるけど元気そう」「咳だけがずっと続いている」――そんな時、考えられるのがマイコプラズマ感染症です。
この記事では、マイコプラズマ肺炎の症状・検査・治療・家庭でのケアについてわかりやすくご紹介します。
「またかも…」と不安になったとき、どう受け止め、どう支えればいいかのヒントもお届けします。

 マイコプラズマとは?

 
マイコプラズマは細菌の一種で、3歳以上の小児〜学童期に多く見られる肺炎の原因菌です。
咳が長引き、高熱が続くのが特徴ですが、比較的元気な様子に見えることも多く、風邪との見分けが難しい感染症です。

主な症状

 

長引く咳(たん絡み)
38℃以上の高熱(でも比較的元気そう)
鼻水は出ないことが多い
軽い発疹が出ることも

 
咳+熱が続いていて、咳の強さのわりに鼻水がない場合、マイコプラズマ感染の可能性を考えます。

当院での検査方法
迅速検査ではなく正確なPCR検査

 
マイコプラズマの診断には以前、血液中の抗体検査や抗原迅速検査が使われていましたが、精度やタイミングの課題がありました。
当院では迅速検査は使用せず、マイコプラズマや百日咳を含む15項目同時PCR検査を導入しています。

多項目同時PCR検査とは?

鼻咽頭ぬぐい液から検体を採取
マイコプラズマ・百日咳・RSウイルス・アデノウイルスなど15種のウイルス・細菌を一括で検出
従来の迅速検査よりも高精度で確実

 
「何度も検査するのはかわいそう」「早く正確に原因を知りたい」という保護者の声に応えるために、この検査を導入しています。

治療方針

 
マイコプラズマは通常の抗生剤(ペニシリン系など)が効きにくいため、マクロライド系(クラリスロマイシンなど)を中心に処方します。
熱は比較的早く下がりますが、咳は2〜3週間続くこともあるため、焦らず経過を見守る必要があります。

家庭でできるケアと声かけ

咳を楽にするため、加湿や体を少し起こした姿勢で休ませる
水分補給をこまめに(食事よりも水分優先)
「咳が続くけどがんばってるね」「教えてくれて助かったよ」と声をかけ

 
 
咳が続くと、親も子も不安になります。
でも、子どもが「つらい」と感じていることを受け止めてもらえることが、何よりの回復力につながります。
休む・訴える・甘えることも“回復の力”として見守っていきましょう。

受診の目安

 

  • 咳が1週間以上続いている
  • 高熱が3日以上続くが、鼻水はない
  • 咳が強く、夜間眠れない・嘔吐してしまう
  • 学校や園でマイコプラズマが流行っている

登園・登校の目安

 

熱が下がって元気が戻っていれば、登園・登校は可能です。
ただし、咳だけが残っている時期は無理せず、「そろそろ行けそうかな」と本人が思えるタイミングを尊重しましょう。

よくある質問

 
Q. 迅速検査をしてもらえますか?
A. 当院では迅速検査は行っておらず、15種類を一括で調べるPCR検査を行っています。その方が正確な診断につながります。
 
Q. 咳だけが残っていても登園していい?
A. 熱が下がり、食事や活動が普段通りに戻っていれば登園可能です。咳が強い場合は無理せず休養を。
 
Q. 家族にうつりますか?
A. 感染しますが、咳やくしゃみなどの飛沫による感染が中心です。マスクや手洗いである程度予防できます。

まとめ 
「長引く咳」は、ちゃんと戦っている証

 
マイコプラズマ感染症は、見た目の元気さと症状の重さが一致しにくい感染症です。
 
「また風邪かな」と思っても、長引く咳や高熱にはしっかり耳を傾けてあげてください。
 
焦らず、今のお子さんの様子をそのまま信じて寄り添うことが、安心と回復を後押しします。
 
当院では、長引く咳・繰り返す発熱・登園判断なども丁寧にご相談をお受けしています。
ご心配なことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
 

当院では、発熱外来・思春期外来・発達外来も行っています。
心理面のご不安にも、臨床心理士と連携しながら対応しています。


【この記事の監修・執筆】
 
アイキッズクリニック
     院長 会津 研二(小児科専門医)
 
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。