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ノロウイルス感染症

 
「突然吐いた」「何度も下痢が…」そんな時、保護者の方はとても不安になりますよね。
この記事では、ノロウイルスを中心としたウイルス性胃腸炎の症状・受診の目安・家庭でのケアについてわかりやすく解説します。
お子さんの「つらい」を受け止め、安心して休める環境づくりも一緒に考えていきましょう。

 ノロウイルスって
どんな病気?

 
ノロウイルスは冬に流行しやすいウイルス性胃腸炎の代表です。
少量のウイルスでも感染力が非常に強く、保育園・学校・家庭内などで一気に広がることもあります。
突然の嘔吐・下痢・腹痛が特徴で、熱が出ることもあります。

主な症状

突然の嘔吐(1日数回)
水様性の下痢が1〜3日続く
腹痛・発熱(熱はないことも多い)
食欲低下・不機嫌・脱水傾向

診断と治療

 
診断は症状と経過の聞き取りを中心に行います。
重症度や脱水の有無を確認するために血液検査や迅速検査を行うこともあります。

治療方針

ウイルス性胃腸炎には特効薬はありません。
基本は自宅での安静と水分補給が中心で、必要に応じて吐き気止めや整腸剤を処方します。
細菌性胃腸炎が疑われる場合は、便培養検査や抗生剤処方を行うこともあります。

家庭でのケアと関わり方

水分補給を最優先(経口補水液・湯冷まし・麦茶など)
嘔吐が落ち着くまでは無理に食べさせない
吐物・便はビニール手袋+次亜塩素酸で処理
「しんどいのに教えてくれてありがとう」「がんばってるね」と声かけを

 
「また吐いた」「全然食べない」など、つい焦ってしまうのは当然です。
でも、子どもが「つらい」と言えたとき、ちゃんと受け止めてもらえることが、心の安心につながります。
焦らず、子どものペースに合わせて休ませる姿勢が、早い回復を助けてくれます。

受診の目安

何度も嘔吐が続き、水分がとれない
尿が半日以上出ていない
高熱や強い腹痛がある
ぐったりしている、意識がぼんやりしている

登園・登校の目安

嘔吐・下痢が止まり、食事と排便が安定してからが基本です。
感染力が高いため、症状がなくなっても2〜3日は感染を広げる可能性があります。
ご家庭でも、焦らず子どもの回復ペースに合わせた復帰を心がけましょう。

よくある質問

 
Q. 吐いた直後に水を飲ませてもいいですか?
A. 吐いた後は15〜30分空けてから、少量ずつ飲ませてください。
急いで飲ませると再び吐くことがあります。
 
Q. うつるのが心配です。家での予防法は?
A. 嘔吐物・便の処理を素手で行わず、塩素系漂白剤で消毒しましょう。
タオル・食器の共有は避けてください。
 
Q. 食べられなくても大丈夫?
A. まずは水分補給が優先です。
1〜2日食べられなくても、水分がとれていれば心配ありません。

まとめ 

 
ノロウイルスによる嘔吐や下痢は、とてもつらいものです。
でも、「つらい」と伝えられたこと、「今は休みたい」と感じることは、子ども自身が自分の体に向き合っているサインでもあります。
ゆっくりでいい。大丈夫だよ。そう声をかけてあげることで、回復への力が自然とわいてくるはずです。
当院では、発熱・胃腸症状・思春期の体調不良なども丁寧に診察しています。
「受診した方がいいか迷う」「食べられないことが心配」など、気になる症状があればどうぞご相談ください。
 

当院では、発熱外来・思春期外来・発達外来も行っています。
心理面のご不安にも、臨床心理士と連携しながら対応しています。


【この記事の監修・執筆】
 
アイキッズクリニック
     院長 会津 研二(小児科専門医)
 
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。