不安が強い子どもたちへ
“心配しすぎ”ではないその気持ち
「明日のことを考えると苦しくなる」
それは“こころが過敏なサイン”かもしれません。
「授業中に当てられないか心配でたまらない」「新しい環境に慣れるのがとてもつらい」「寝る前に“もし明日失敗したら…”と考えて眠れない」
こうした不安は、決して“考えすぎ”や“性格の問題”ではなく、思春期の脳と心の特徴によって起こるものです。
小学生高学年〜高校生の思春期の子どもたちにとって、不安はとても身近で深刻な悩みになりやすいのです。

なぜ思春期に不安が強くなりやすいのか?
“感じる脳”の発達と自己評価の揺らぎ
思春期の脳は、不安や危険を察知する扁桃体(へんとうたい)が敏感に働きやすくなっています。
一方で、不安を整理したり客観視したりする前頭前野(ぜんとうぜんや)は、まだ発達の途中です。
そのため…
「人にどう見られているか」が極端に気になる |
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ちょっとした失敗が“人生の終わり”のように感じる |
「また同じことが起きたらどうしよう」と予期不安が続く |
学校やテスト、人前での発言が極度のプレッシャーになる |
こうした“脳のアンバランス”と“社会的プレッシャー”が重なることで、不安が強く出やすくなるのです。
家庭でできる対応
安心の土台があると
不安はやわらぎます
「気にしすぎ」ではなく
「そう感じるんだね」と認める
「大丈夫」「気にしすぎじゃない?」という言葉は、不安を“否定された”と感じさせてしまうことも。
まずは、「そう感じるのはつらいね」「よく教えてくれたね」という共感の姿勢が大切です。
“できた”より“安心できた”を
一緒に振り返る
「今日は学校に行けた」より「不安だったけど行けたね」 |
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「途中で帰ったけど、ちゃんと自分で判断できたね」 → 「行けた/行けなかった」ではなく、“自分を大切にできた”経験を積む |
「安心できるルーティン」
をつくる
朝の支度・持ち物・話す順番などを決めておく
「不安になったらこの場所に行こう」「〇〇さんに声をかけよう」と対処パターンを決めておく
→自分でコントロールできる安心感が、不安を軽くします。
受診の目安と相談先
親のみのご相談やオンライン診療も可能です
次のような状態が2週間以上続く場合は、ご相談ください。
学校や外出が不安で行けなくなっている |
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人前での発言や失敗に強い緊張や不安がある |
不安で眠れない・お腹や頭が痛くなる |
失敗への恐れや予期不安が強く、毎日がつらい |
保護者自身がどう関わっていいかわからなくなっている |
当院の【思春期・発達外来】では、小学生高学年〜高校生までを対象に、初診からオンライン診療にも対応しています。
また、「まずは保護者だけで相談したい」という方もご利用いただけます。
当院からのメッセージ
不安が強い子どもは、「本当はがんばりたい」けど、「どうにもならない不安」に押しつぶされそうになっていることが多いです。
親御さんも、「どう声をかけたらいいか」「これでいいのか」と悩まれると思います。
私たちは、子ども自身の回復力と、それを支える保護者の力を信じながら、無理のないサポートをご提案しています。
オンライン診療・保護者のみのご相談も可能です。
一人で抱えず、ぜひお話を聞かせてください。
よくあるご質問
Q. 学校に行けないのは甘えですか?
A. いいえ。不安が強くなると、「行きたくても体が動かない」状態になります。
まずは心と体のエネルギーを整えることが大切です。
Q. 不安には薬が必要ですか?
A. 必ずしも薬が必要なわけではありません。
環境調整や安心できる人との関係性、行動の工夫で改善することも多くあります。