社交不安
人前が怖い
緊張が強すぎる子どもたちへ
「声が震える」「みんなの前に立てない」…
“ただの恥ずかしがり”で済ませないでください。
「授業で当てられると、頭が真っ白になる」「朝の会や自己紹介が怖くて眠れない」「人前に出ると動悸がして、息が苦しくなる」
こうした反応は、“恥ずかしい”を超えた、社交不安(社交不安症)の可能性があります。
小学生高学年〜高校生の思春期世代は、“人の目”を強く意識する発達段階にあり、苦手が強く出やすい時期でもあります。

社交不安とは?
“人前でどう思われるか”
が怖くなるこころの反応
社交不安とは、人前で話したり行動する場面に強い不安や緊張を感じる状態です。
本人は「おかしい」とわかっていても、自分ではどうにもできず、次のような症状が見られます。
よくある例:
発表で手が震える・声が詰まる・息が苦しくなる |
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自己紹介・面接・友だちとの会話に強い抵抗がある |
話したあとに「変なこと言ったかも」と何度も思い返す |
失敗を極端に恐れ、行動を避けるようになる |
親以外の人と関われない/不登校につながる |
思春期は、感情を敏感に感じ取る脳の部分が先に成長し、理性で整える部分は未熟な状態。
そのため、「自意識が強くなりすぎて苦しくなる」ことがあるのです。
家庭でできる対応
“がんばらせる”より、
“安心できる場”をつくる
「がんばれ」より
「一緒に作戦立てようか?」
「逃げないで」「人前は慣れだから」などの言葉は、本人を追い込んでしまうことがあります。
代わりに、「どういう順番なら安心?」「練習してみる?」と一緒に考える姿勢が大切です。
“行動”で評価せず、
“勇気”を認める
話せなくても“その場にいようとした”こと |
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声が出なかったけど“返事をしようと思った”気持ち → 小さな一歩を“できたこと”として認めてあげましょう |
苦手な場面は、
事前に“安心材料”を準備
席の場所・発表の順番・話す内容をあらかじめ共有しておく |
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教員や周囲の大人に「不安が強い」ことを伝えておく →「何が起こるかわからない」不安を減らすことが有効です。 |
家庭でできる対応
「やめさせる」より
「安心できる言葉」を
否定せず、
「不安だったんだね」
と共感する
一緒に“減らせること”を探す
今日は2回の確認でやめてみようか |
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1人では不安なら、いっしょにチェックしてみようか → 少しずつ“安心の量”を減らしていく声かけをしていきましょう。 |
受診の目安と相談先
親のみのご相談やオンライン診療も可能です
次のような状態が続いている場合は、一度ご相談ください。
発表・集団の場面で明らかな緊張・不安・過呼吸がある |
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人前で話せない/声が出ない場面緘黙がある |
学校に行きたくない/登校しぶりが続いている |
他人と関わることを極端に避ける |
ご家庭だけでの対応が難しくなってきている |
当院の【思春期・発達外来】では、小学生高学年〜高校生までを対象に、初診からオンライン診療にも対応しています。
また、「まずは保護者だけで相談したい」という方もご利用いただけます。
当院からのメッセージ
「話せない」「緊張して動けない」は、子どもの中で本当に起きている“心と体の反応”です。
“勇気がない”のではなく、“頑張りすぎて限界に近づいている”のかもしれません。
私たちは、子どもの心の安全基地になれるよう、保護者の方と一緒に、無理なく安心できる方法を探していきます。
オンライン診療・親のみのご相談も可能です。
気になることがあれば、いつでもご相談ください。
よくあるご質問
Q. 学校ではがんばっているようですが、家で泣いています…
A. “外でがんばって家で爆発する”のは、心が限界に近いサイン。
親が安心できる場所になっているからこそ出せる感情ともいえます。
Q. 慣れればそのうち治りますか?
A. 環境や支援があれば改善することも多いですが、放置すると不登校・抑うつ・自己否定感につながることもあります。
早めの対応が大切です。