ヘルパンギーナ
高熱・食べない・受診の目安
「急に高熱が出て、まったく食べてくれない」「口の中が痛そうで何も飲みたがらない」――そんなとき、夏に流行するヘルパンギーナの可能性があります。
この記事では、ヘルパンギーナの症状・受診の目安・家庭でできる関わりをやさしく解説します。
保護者の不安に寄り添い、子どもの気持ちやペースを尊重する関わり方もご紹介します。

ヘルパンギーナとは?
ヘルパンギーナは夏季に流行しやすいウイルス感染症で、乳幼児〜未就学児に多く見られます。
コクサッキーウイルスが原因で、のどの奥に小さな水ぶくれ(水疱)や潰瘍ができ、強い痛みを伴います。
主な症状
突然の高熱(38~40℃ |
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のどの奥に水疱・潰瘍(見た目ではわかりにくいことも) |
食事や水分を嫌がる |
機嫌が悪い、泣きやすい |
発疹や鼻水は出ないことがほとんど |
診断と治療
ヘルパンギーナは、症状と視診(のどの所見)で診断されます。
迅速検査や特効薬はなく、対症療法が中心です。
ほとんどは3〜5日で自然に解熱・回復します。
家庭でできること
のどごしのよい食事(ゼリー、冷たいスープ、豆腐など)を少量ずつ |
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水分を優先し、脱水にならないように気をつける |
無理に食べさせようとしない |
「しんどいのに教えてくれてありがとうね」などの声かけ |
子どもが食べないと、保護者としてとても不安になりますよね。
でも、「食べたくない」という気持ちや、「しんどいから休みたい」というサインを安心して出せる環境が、心と体の回復に大きな力を与えてくれます。
受診の目安
高熱が3日以上続く |
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水分がほとんど取れない、尿の回数が減っている |
元気がなく、ぐったりしている |
登園・登校の目安
解熱し、食事や会話ができるようになってからが登園の目安です。
「そろそろ行けそうかな」とお子さんが感じられるタイミングを大切にしましょう。
よくある質問
Q. 食べられないまま何時間も経っています。どこまで様子を見て大丈夫?
A. 水分が取れていて、尿が出ているなら少し様子を見ても大丈夫です。
半日以上水分を拒む・尿が極端に少ないときは受診をおすすめします。
Q. 解熱剤は使ってもいい?
A. 使って大丈夫です。のどの痛みを軽減し、食事や睡眠がとりやすくなります。
Q. 家族にうつりますか?
A. 手足口病などと同様、飛沫や接触で感染することがあります。特に兄弟・姉妹間のタオルや食器の共用に注意しましょう。
当院では、発熱外来・思春期外来・発達外来も行っています。
心理面のご不安にも、臨床心理士と連携しながら対応しています。
【この記事の監修・執筆】
アイキッズクリニック
院長 会津 研二(小児科専門医)
新生児・発達・思春期の診療に長年携わり、
多くのお子さんの成長と自立を見守ってきました。
ご家庭や集団生活でも穏やかに過ごせるよう、
アドバイスや治療をご提案しています。